気遣い
先日、小田急線の中で、イケてない男子高校生2人組が、
大事なミーティングをしていました。
イケてない2人組の、特にイケてない方の小太り男子が、
「昨日さ〜、同じクラスの小林がさー」
「どっちの小林?」とイケてないメガネ男子。
「ブサイクな方」と小太り。
「あー、あっちね」とホッとした様なメガネ。
「あいつがさ〜、吉田君て、よーく見ると、モテそうなタイプだよね」だって!
「オレ、啞然としたね」
「なんで?」とメガネ。
「だってさ〜、よーく見るとのよーくとか、モテそうのそうとか、タイプ、とか、
この3つ超失礼じゃね?
それって、女にモテないオレに対しての気遣い?
あいつごときに気遣われるって、オレは何もの?」
「普通の吉田じゃね?」と興味を失ったメガネ。
「......普通?.....そう言う事じゃなくってさ、何か悲しくね?悲しいって言うか、何か悔しくね?
別に言わなくてもいい事をさ〜、小林ごときにさ〜気遣いで言われるって」
「言われるだけいいじゃん、小林から見たらそう見えたんじゃね?」と冷静なメガネ。
「オレは自慢してるわけじゃねーよ、
ただ、ただね小林は、あー言ってるけどさー、.
......男のお前から見て、オレはどう思う?........」
「どう思うって、オレから見て、吉田の顔はどうかって事?」とメガネ。
おそるおそる、うなずく吉田。
「普通よりチョイ下じゃね?」とナイスなメガネ。
悲しそうな吉田。
「チョイ下って、....どれくらい?......」
「小林のチョイ上?」と気遣うメガネ。
悲しそうな吉田。
新宿まで会話が止まってしまった2人。
嘘つきの小林さんが悪いのか、
正直なメガネ君が悪いのか、
吉田君のDNAが悪いのか、
車内全員が、考えながらホームへとはきだされた。
< | | ホーム | | > |