師匠
つい先日、後輩と生ビールで乾杯した直後の事でした。
「お〜、みのー!、5分後下北沢に着くけど一杯飲めるか?」
「もちの、ろんです!」
後輩に事情を説明して、下北沢駅南口に向かった。
久しぶりに走った。
師匠は上機嫌だった。
かなり酔っ払っている御様子だ。
2人だけで飲むのは何年振りだろう?
馴染みのバーをくぐると,師匠はしゃべり続けた。
今迄に何度も聞いた話だったが面白かった。
いつものオチの所で、いつもの様に笑った。
師匠と飲む時、自分なりに守る事がある。
とにかく,師匠の話を聞く。
自分の事は、聞かれるまで話さない。
自慢話をしない。
師匠にこれからの事を相談する。
これをずっと守り続けてる。
師匠は過去最高に酔っ払っていた。
僕は物凄く嬉しかった。
この顔は、僕にしか見せない顔だ。
僕にしか話さない愚痴だ。
なんて勝手に思いながら師匠を見つめていた。
すると突然、いつもの様に師匠は慌ただしく帰っていった。
1時間1人で喋り倒して帰っていった。
お金も払わず帰っていった。
初めて師匠に御馳走した。
後ろ姿を見送りながら頭を下げた。
今度は僕が慌てて後輩の元へ走った。
後輩は3つ上のステージで酔っ払っていた。
僕も急いで駆け上がっていった。
気分のイイ日だった。
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