山あり谷あり
先日、久しぶりに家族が起きてる時間に帰宅した。
子供達は喜ぶものの、妻は心なしか迷惑そうな表情を一瞬見せた気がした。
たぶん気のせいである。
気を取り直して、まずは風呂に入る。
湯船に浸かり、冷えた足先が徐々に温まっていく。
ゆっくりと目を閉じる。
「至福の時である」
すると突然、次男坊が「ウッー!」と驚かそうと入って来た。
僕は僕で足音で気付いてはいたものの大げさに驚いた振りをする。
「おーびっくりしたー、オバケかと思ったよ」
満足した彼は、服を着たまま湯船の横に近づいてきた。
「ねぇおとうさん、きょうねぇ、すごいいいことがあったんだよ」
「えー!どんないい事があったの?」
「オオゼキでねぇ、ブラックタイガーが、はんがくだったんだよ」
あまりの予想外に思わず吹き出してしまった。
「それでねぇ、パスタつくってもらったんだ。クリームあじで」
「ざんねんながら、いっこものこってないけどね」
「たぶん、おとうさんには魚のやいたやつがでるとおもうよ」
「はんがくブラックタイガー..........ちょうラッキー......」
ぶつぶつと呟きながら、彼は満足した様子で立ち去っていった。
その次の日、彼はサッカーの練習で捻挫をして、
大げさに巻いた包帯を誇らしげに見せつけ、
「おとうさん、いたくて、あるけない.....グギッておとがした......」と小芝居をしてみせた。
その次の日、彼は熱を出して寝込んでいた。
一人隔離され、辛そうな寝息をたてて眠っていた。
額に熱さまシートを貼り、足に湿布を貼り、眠っていた。
慌ただしい彼の毎日に僕はこの上ない幸せを感じます。
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