間違い電話
最近、僕の携帯電話に間違い電話が頻繁にかかってくる。
迷惑かと言えば実はそうではない。
むしろ楽しんでいる。いや、心待ちにしている感があります。
年の頃は63歳 男 東北か北海道在住とみられる。
それっぽい「訛り」がある。
朝、7時と昼の12時前後が最も多い。
ほとんどが留守番電話にメッセージを残してくれます。
「もしもし、昼休みにいつもの所で待ってます、来るまで待ってます」
「もしもし昨日は、来てくれなかったね。忙しかったのかな........」
「おはよう!今日は一日、小屋の中で仕事してます。よかったら来てください」
「やっぱり、昼からパークゴルフさ行きます。川の横の公園です」
「あっ、俺です。ん〜またかけます。何時頃がいいがな?」
「昼休み、小屋の裏さ来てくれないがな?用事があれば来なくていいです」
「久しぶりです。ん〜明日..........、やっぱりいいです」
これは、恋物語なのか......、はたまた不純恋物語なのか.........、
恐らくではあるが、後者の可能性が高いと感じる声のトーンであり、
背景でもあり、限られた時間しかないと見受けられます。
そんなある日、着信表示に、例の「間違い電話」が記されました。
最近は彼を「間違い電話」と登録しており、もう知人として扱ってます。
「もしもし、今日は車洗ってたね、手伝いたかったな」
「もしもし、昨日ちょっと元気なかったね、心配で電話しました」
これは恋の一方通行なのか、ストーカーに近いのか、
もしかして、僕をからかってるのか........、いや、それは無い。
純粋な言葉が多過ぎる。そして優し過ぎる。そして痛過ぎる。
電話に出るべきか、出ないべきか、このままでいいのか、
ずっと聞いていたい気持ちもあるが、彼に対しての罪悪感が出始めている。
今後の彼の動向に注意を注ぎたい。
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